僕の農園では、農薬と化学肥料を一切使わない野菜作りをしています。
美味しくて安全で安心のできる野菜作りを始めて四年目をむかえました。
まず畑の土作りを勉強し、土壌の微生物の存在を知りました。稲藁や刈り取った雑草などの有機物を分解し、野菜に必要な栄養素を作りだすのが微生物だったとは正直、全く知りませんでした。
自然の山や森では、誰も肥料を与えなくても植物が元気に育ちます。その理由は、たくさんの微生物が土壌にいるからなのです。
微生物たちが落ち葉、そして動物、虫の死骸や排泄物など色々な有機物を分解して無機化にしています。
無機化とは、植物に必要な栄養素でチッ素、リン酸、カリに変わる事です。こうして、植物が根から吸収して元気に育ちます。
僕が畑でやる事は、微生物が沢山住める環境を整えることです。
微生物の世界は野菜や人にとって
良い働きをする『善玉菌』
悪い働きをする『悪玉菌』
に大きく分けられます。
善玉菌が働き食品が発酵すると、大豆が納豆、牛乳がヨーグルト、小麦がパンへと有用な食品になります。発酵食品は、栄養価が高く酸化や腐敗しにくい抗酸化と言う性質を持ちます。
でも、大豆、牛乳、小麦に悪玉菌が働くと食品は酸化や腐敗し食べることが出来ません。つまり、善玉菌が優位になると環境や健康に良い状態になります。逆に悪玉菌が優位になると、酸化や腐敗が進み環境や健康に悪い状態になります。
同じように、畑の土でも善玉菌が優位な状態になると、栄養豊富な土壌となり化学肥料に頼らずとも野菜が育つ環境になるのです。そして、土壌の微生物の働きで生態系が安定し、偏った害虫の発生が少なくなり、益虫と害虫のバランスが良くなると言われてます。
害虫や病原菌を農薬で駆除すると、大切な微生物までもが駆除され、せっかく出来上がった善玉菌優位の状態と生態系が、破壊されてしまいます。
光合成細菌
乳酸菌
酵母菌
3つの菌がいます。
この3つの菌がEM菌と呼ばれています。EM菌は糖蜜をエサにして増やす事が出来ます。
『光合成細菌』
土壌の有害物質を分解し、抗酸化力の高い環境に整えるます。乳酸菌や酵母に支えられながら力を発揮し、有害なものを有用なものに変えてしまいます。
『乳酸菌』
ヨーグルトやチーズを作る時に活躍する微生物で、強い酸を出して病原菌の繁殖を抑制。悪玉菌から光合成細菌や酵母を守る役割をしています。
『酵母菌』
パンやビールが酵母で作られます。
有機物を分解し、有機酸やアミノ酸などを作り善玉菌のエサになります。そして土壌を豊かにします。
この3つの菌たちが共存して助け合い、善玉でもなく悪玉でもない、日和見菌を仲間に入れ、善玉菌優位の土壌を形成します。
畑に鍬を入れない不耕起栽培も、自然な森や山に近い状況になり、雑草は根を張り土壌を団粒化させます。
こうした状況を作りだせると、農薬や化学肥料に頼らない野菜作りが出来る農法です。しかし、理想的な畑になるまでには、長い時間と忍耐力が求められます。
自然な山や森に近い畑作りを目指しています。